現在の3年生は、残念ながら新校舎で学ぶことはできません。そのため4人には「卒業の記念に100年の森の構想を後輩たちに残したい」という強い思いがありました。8回の授業では、ただ単に「自分たちがやりたいこと」を考えたのではなく、まず20年後(2035年)の未来に何が起こっているかを予測し、そこから同級生にも意見を求めながら森に何が必要かを議論しました。未来の予測に基づいた構想は、とても理論的であり、想像力豊か。「私たちの成城愛が伝われば嬉しいです。入学希望者が増えればいいですね」と学園の経営にも踏み込んでいて、プレゼンを受けた側は「社会問題を考えてアプローチしたところが素晴らしい。目の覚める思い」(設計担当者)「質が高くて驚きました。少子高齢化の中で生き続けていく今後の経営も考えていて...」(学校関係者)とただただ脱帽。大人目線とは異なる発想に突き動かされたようで「どれだけ採り入れられるか考えたい」と真剣に検討することを約束していました。その素敵なプランの一部をご紹介したいと思います。
プロジェクト名:Memori 「記憶(memory)に残る森」を重ね合わせた造語
発表の際は「100年の森」の設計図を中央に置き、未来に起こることを予測して考えたレイアウトや活用法などのプランを書き込んでいました。
<十人十樹>
親の理想像に合わせた遺伝子操作により、みんな同じような子供になってしまう「デザイナーズベイビー」が増えると予測。個性を発揮できる場所が必要だという狙いで、さまざまな種類の木を植え、木に名前やメッセージを書き込めるようにする。
<ナチュラルクーラー>
温暖化の影響で冷房の効いた家から出なくなる。針葉樹を植えて日差しを遮り、適度な涼しさを提供する。
<のびのびの森>
温暖化による熱中症が深刻化し、外に出ないで運動不足になる人が続出。そのため、開放的な森にアスレチックやハンモックを設置し、涼しい場所で運動ができる場所を作る。
<交園>
高齢化に伴い若者が減るので、新しい発想が生まれにくくなる。そのため、大規模な留学生の受け入れをしつつ、世代間交流や異文化交流をする場をつくり、森で子供が遊ぶ姿を見て「子供っていいな」と思わせるような空間にする。公園ではなく、「交わる」の意味で「交園」と命名した。
<避デジ地>
いずれ人間の体にデバイスが埋め込まれ、管理されてしまうのでは?そういうことから解放されるため、Memoriは電波が届かない隠れ家的な場所にしたい。
<サイトスペシフィックウッド>
視神経とつなげて、見るものをまばたきするだけで写真が撮れるコンタクト・デジカメができる。疲れてしまった目を休めるため、また鼻の嗅覚を大切にするため「サイトスペシフィック(site-specific=特定の場所に限定した)森で森林セラピーができればいい。
今回発表したメンバーと先生